前回は裁判員制度の裁判員に選任された過程を投稿致しました。⇒裁判員制度の裁判員に選ばれた話①
裁判員になれば、いろいろ裁判についてのことを勉強しなければならないのか?と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、予習は要りません。
裁判の流れについては手元に資料がありますし、裁判官の方もこまめに気を配ってくださいますので裁判のことがわからなくても大丈夫。
今回は裁判が始まってからの流れ、裁判員がどうしているのかをまとめていきますね。
裁判員の仕事とは
裁判員に選任されましたが、裁判でいったい何をすればいいのでしょうか。
裁判員の仕事ってよくわかりませんよね。
裁判員の職務は大きく分けると、法廷での審理に立ち会うこと、評議で意見を述べること、判決の宣告に立ち会うことです。
普段では結果としての判決をテレビや新聞で知ることのみだったのですが、今回初めて裁判員に選任されて、ひとつの裁判について最初から最後まで立ち合うことになります。
評議をすることが一番大きな仕事になると思うのですが、評議で判決を導くためにはきちんと審理に立ち合わなくてはなりません。
判決によって被告人の人生が変わる、と考えると専門家ではないけれど裁判員も重く、大変責任のある職務であることを実感してきます。
真剣に取り組まなくては、と気持ちも引き締まります。
裁判の流れ
第一審の刑事裁判(裁判員が参加する裁判)は、検察官が被告人を起訴することによって始まります。
起訴は起訴状という書面を裁判所に提出して行います。
①冒頭手続き(争点を明らかにする⇒検察官が起訴状を朗読・被告人側の言い分を聞く)
②証拠調べ手続き(証拠を取り調べる⇒検察官が証拠によって証明しようとする事実関係を主張・裁判所は法廷で証拠を見たり、聞いたりする)
③弁論手続き(検察官・弁護人の意見を聞く⇒検察官、弁護人からそれぞれ証拠に基づいて、被告人が有罪かどうか、刑の重さなどについての意見を聞く)
④判決宣告
さて、これからは実際に裁判員として裁判に立ち合って感じたことを記していきますね。
初めての裁判員裁判
初めて裁判員となる日、緊張です、ドキドキです、きちんとできるかな・・・不安な気持ちばかりが胸にこみ上げてきます。
法廷に入るには一般の方の通らないところから入っていきます、他の人と接点がないように配慮されているからかもしれません。
法廷に入ると学校のように起立、礼から始まります、さぁ裁判員デビューです。
傍聴席とは真向いになるのでまたまた緊張、書類は自分用にもらえますので(貸与)、いろいろ書き込んだりすることも自由です。
被告人に直接質問をすることもできますので、聞きたいこと、気になる点があれば、思いついたときにメモもとれます。
筆記用具などの文房具は、評議室や法廷内で自分用に貸与されます(鉛筆だけではなく充実しています)
裁判に関わる書類は持ち帰り不可です、評議室のロッカーで保管していました(すぐに返却した書類も有)
初めての評議
上記の裁判の流れで③の弁論手続きまでは、審理に立ち合うという形になるので受け身のように感じるのですが、その後は判決を導くために裁判官と裁判員で評議しなければならず、ここからは自分の意見をしっかり話さなくてはなりません。
裁判官と裁判員は学校のような向かい合って座っているわけではなく、円形テーブルでの話し合いになるので意見の交換をしやすいスタイルです。
前もって裁判官がわかりやすい言葉で説明してくれたり、意見しにくいような箇所ではひとりづつ順番に思ってることを発言していきます。
堅苦しいと感じることはなく評議することができました。
裁判員裁判の流れ まとめ
納得いくまで裁判官、裁判員で話し合ってまとめた結果が判決になるのですが、最後の判決宣告の日は裁判長が被告人に判決を読み上げます。
その判決宣告後に裁判員の職務は終了となります。
最初は訳がわからないので不安がいっぱいだったのですが、いざ始まってみると裁判官のサポートを受けながら評議を進めていくことで自分たちの結果をまとめることができました。
終了後、裁判員、裁判員補充員だったわたしたちに裁判所よりお礼状(感謝状)とピンバッジをいただいて解散となります。
これまでの投稿は、あくまでもわたし自身の体験談からの投稿であり、現在とは内容が異なっていることもあるかもしれませんのでご了承ください。
自分の心配だった点をまとめてみました
わたしが経験したことをまとめてみたのですが裁判所のHPには詳細が書かれていますので、詳しいことが気になる方は参考にしてくださいね。⇒裁判所HP
ここでは裁判員を経験したわたしが、心配していた点がどうだったのかを書いてみます。
● 裁判員・裁判員補充員になるとお給料もらえるの?⇒日当、交通費はきちんとでます。時間給なのかどうなのかはわかりませんが早く帰宅したときは少なかったです。
● 裁判中トイレに行きたくなったらどうするの?⇒裁判中も評議中もわりとこまめに休憩がありました。裁判中でもメモで渡してくれれば裁判を止めます、と言われたのですがさすがに裁判を自分のために一旦止めるのは忍びないので休憩時間にトイレに行きたくなくてもいきました(裁判の関係者が一人でも欠けると審議ができないため)
● お昼ごはんどうしたの?⇒ちゃんと食堂も売店もありました。評議室は休憩中も使えるのでお弁当を持ってきてもOK。コーヒーやお茶は常備してくれているので環境、待遇は良かったです。
● 裁判所ってどんなところ?⇒わたしは初めて裁判所に行ったのですが人の出入りが多いものの、建物自体ゆったり設計されているのか、がちゃがちゃした雰囲気はまったくありませんでした。争いの場なのに落ち着いた雰囲気の場所なのでちょっと違和感を感じます。
● 裁判官とは話するの?⇒周りに裁判官なんていないから、ちょっと話かけにくいかなっと思っていましたが3人ともそんなことはなく、休憩時間にはプライベートな話も大丈夫でした(裁判官には待機する部屋がありますが)普段話す機会がない職業の方なのでいろいろお話させていただいたので、その点は楽しかったです。ただ、裁判官は私生活も品行方正でいなくてはならないので大変そうだなぁと感じました。
● 裁判員になると仕事のある人は仕事どうしてる?⇒裁判中、その裁判員になったことは公にしてはいけないのですが職場の方にその旨を伝えるのはOKです。職場から「ちゃんと勤めてこい!」と言われたという裁判員の方も中にはいらっしゃいました。最後の日に裁判所からこの日は裁判に参加していました、といった書類をもらえましたので会社に提出すれば良いと思います。裁判員制度に理解のある会社も多いでしょう(だって法律で定められたことに参加してるんだもんね)
● 裁判員って顔ばれするんじゃない?⇒うーん、裁判中は傍聴席を向いて座っているので顔ばれはしてますよね。ただ裁判所は思ってる以上に人の出入り激しいです。わたしはあんまり気にしないのですが気になる方はマスクでカモフラ―ジュ、時間をずらして裁判所に出入りするとかはできます。
● 評議が長引いても残業ってないよね?⇒わたしの経験談のみの情報なので絶対とは言い切れませんが、5時以降にはならないような気がします。
● 最後の評議で意見がわかれたらどうなるの?⇒評議で最終的に一致しなければ多数決となります。
裁判員制度の「裁判員」に選ばれて
意外とまわりに裁判員を経験した人がいないので、現在でも「裁判員制度」があることを実感できないという方が多数だと思います。
平成21年にスタートした「裁判員制度」は実際に今でも続いている制度ですので有権者の方であれば、いつか裁判員の候補者の名簿に名前が載ることがあるかもしれません。
その時に参考になればいいな、と思って記事を投稿してみました。
今回、裁判員に選任されて普段知らない世界のことを体験してみて、メンタル的にしんどい部分はありましたがいい経験になったと思っています。
わからないことがあっても、何がどうわからないのかを伝えれば裁判官が教えてくれます。
もしかすると自分に裁判員が務まるんかな?って思っている人がいるかもしれませんが「人の話をきちんと聞くことができて、それに対して自分の意見を人に伝える」それができれば大丈夫です。